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アメリカの食の祭典 シーズンイン!~美味しくて楽しいアメリカの祭りたち~

アメリカの食の祭典 シーズンイン!~美味しくて楽しいアメリカの祭りたち~ / フェステバルイメージ

年間を通してアメリカでは様々なイベントが開催されていますが、フード系イベントは春の到来から夏にかけてがメインシーズン。そこで今回はシーズン開幕したばかりのアメリカから、美味しそうで楽しそうな食の祭典たちをご紹介しましょう。


サンフランシスコ大地震後の市街まず4月にはテキサス州サンアントニオで『フィエスタ・オイスター・ベイク』が開催されます。これは地域最大のお祭りサンアントニオ・フィエスタの人気イベントで、名前のとおり主役はカキ。今年は4月20日と21日に開催され、例年2日間で10万個のカキが消費されているというから驚きです。食べ方は焼き、生、蒸し、揚げといろいろ。会場となるセント・メリーズ大学では、カキ以外にも2万個以上のフライドチキンや総量1トン以上のソーセージなど、とにかくたくさんの食べ物が消費されていきます。なんだか規模の大きい学園祭のようですが、じつはこれ大学の資金集めが目的のイベント。なので学園祭と言えなくもないですね。毎年55万ドル以上の純利益を上げ、奨学金や大学のプログラミングに役立っているとか。「カキを食べてもらって奨学金にしよう」という発想がなにより素敵です。


5月に入るとニューヨーク州マンハッタンで『9thアベニュー・インターナショナル・フード・フェスティバル』が開催されます。2日間のイベント中は37thストリートから57thストリートまでが車両通行禁止になり、車の代わりに屋台がズラリ!
ニューヨークで2番目に大きいストリートフェアとして、毎年100万人以上が訪れるこのイベントでは、とにかく世界中の味を楽しむことができます。プエルトリコ、アルゼンチン、中国、タイ、ブラジル、ドイツ、ハイチ、エチオピア、モロッコ、日本などなど。もともとマンハッタンには各国の味を提供するレストランが豊富です。そんなレストランたちも屋台に参加しているからこそ「安くて美味しい!」と好評なんですね。
ホットドック自分で選んだカキを目の前で開けてもらったり、ニューヨークで一番と評判のホットドックに並んだり、はたまた全米各地の"ご当地メニュー"を食べ比べてみたりと楽しみは尽きません。
かつてギャングのひしめく街として知られたエリアに、今は美味しい笑顔が溢れています。今年は19日と20日に開催予定。これから海外旅行を検討する方には是非オススメしたいグルメ・イベントです。


アーティチョークもし同じ日程でカリフォルニアへの旅をお考えなら、カリフォルニア州キャストロビルの『アーティチョーク・フェスティバル』もオススメ。アーティチョークとはアザミに属する農産物ですが、日本ではあまりなじみがありませんね。ぱっと見には「瑞々しい緑色した松ぼっくり」のようなこの食材、欧米ではかなり一般的です。そんなアーティチョークにおいて、世界シェアの7割を生産しているのがこのキャストロビル。
世界一であることを誇りとする街だからこそ、2日間のフェスティバル中はありとあらゆるアーティチョーク料理のブースが並びます。定番なピザのトッピングやグリル、フライはもちろん、サラダやスープ、アイスクリームなどなどバラエティはとても豊か。気になる味はといえば、全体的にポテト系? とくにフライではホクホクとした食感が似ています。屋台だけでなく、フェスティバルではコンサートやミス・コンテストといったイベントも盛りだくさん。とくにミス・コンは1948年の初代アーティチョーク・クイーンがマリリン・モンローとされ、街の人々はこれも大きな誇りの一つにしています。1948年は、本名のノーマ・ジーン・ベイカーから女優マリリン・モンローになって3年目。後に伝説となった映画女優が、まったくの無名時代にほんの一瞬だけクイーンとなったお祭りで、美味しさと歴史を感じてみるのも楽しそうですね。


BBQスペアリブ真夏に入ると食の祭典はさらに加速します。まずはイリノイ州シカゴの『テイスト・オブ・シカゴ』。シカゴピザやBBQスペアリブなど、名物料理の多いシカゴの味が屋台になってグラント・パークに並びます。例年6月下旬から7月中旬に開催され、今年は7月11日から15日の予定。シカゴ市によると「毎年250万人の来場者を魅了している」とのことです。シカゴ市の人口が270万人であることを考えると、このイベントの凄さがより伝わってきますね。
ニンニク7月下旬になるとカリフォルニア州ギルロイで『ギルロイ・ガーリック・フェスティバル』が開催されます。これは名前通りの"ニンニク祭り"。歴史あるニンニクの産地だからこそ「これでもか!」というくらいニンニク料理が勢ぞろいです。バーベキューやポテトフライは言うに及ばず、カンガルー、イノシシ、シカ、ザリガニといった食材もニンニクで味付け。春巻きにだってたっぷりニンニクが入ります。カエルの足の唐揚げやワニの尻尾の唐揚げにもニンニク。アイスクリームにもニンニク...。
とても人気のあるイベントなので、広大な駐車場もすぐいっぱいになり期間中は周囲での渋滞が問題になっているとか。今年は7月27日から29日まで開催予定。このときばかりは町中にニンニクの匂いが充満します。ニンニク好きならいつかは参加しておきたいお祭りですね。


スイートコーン8月は全米各地でスイートコーンのお祭りが開催されます。収穫されたばかりのあまーいスイートコーンは本当にやめられない美味しさ。なかでも17トンのスイートコーンを無料で来場者に振る舞うアイオワ州ウェストポイントのスイートコーン・フェスティバル、そしてコロラド州オレーセのスイートコーン・フェスティバルなどは有名です。



ロブスター夏の終わりはロブスターで締めくくりましょう。アメリカでロブスターといえばメイン州ですが、ロブスターイベントとなると確実にロサンゼルスが有名です。港町のサンペドロで毎年9月に開催され、なんと同じエリアの同じ月に3つのロブスターイベントが開催されているのです。その中で最大規模なのが『ポート・オブ・ロサンゼルス ロブスター・フェスティバル』。ロブスター丸々一匹とポテトサラダ、コールスロー、パン、溶かしバターがセットになってお値段は15~18ドル。この破格の安さも嬉しいところですが、港から海を眺めつつプリプリの身をバターに浸して食べる美味しさはたまりません!
パレードやコンサート、ダンスパーティーなど食事以外の楽しさもいっぱいです。今年は9月14日から16日に開催予定。タイミングが合えば、ロサンゼルス観光のメインイベントにしたいほどの美味しいお祭りですよ。


今回紹介した美味しいお祭りはほんの一部。アメリカにはまだまだ美味しくて楽しくて、ときには不思議でびっくりするような食の祭典がたくさんあります。食文化を体験してその街を知る。食の祭典たちは、訪れる人たちに様々なことを語りかけてくれることでしょう。