
アラスカ州ホーマー市にある、カマチェック湾をのぞむ高級宿泊施設「タトカベイ・ロッジ」。そこの料理長がローガン・コックスさんです。彼はアラスカ地産の食材を使い、さまざまなメニューを開発しました。そのアラスカの魅力を存分に引き出した、ローガンさんのメニューはさまざまなメディアから称賛を受けています。はたしてアラスカの食材の真のパワーとは? ローガンさんにアラスカ食材についてお聞きしました。
myfood:まずはローガンさんが「タトカベイ・ロッジ」の総料理長に就任するまでの経歴をお聞かせください。
ローガン:これまでに13年間、プロフェッショナルのシェフをやってきました。「タトカベイ・ロッジ」で料理長を務める前は、ノース・カロライナやワシントンDC、イタリア、サウス・カロライナなどさまざまな場所でシェフとして働いてきました。ワシントンDCでは「リップル・レストラン」の総料理長も務めています。最初は手の込んだ料理をつくっていましたが、イタリアでシェフをしているときに、シンプルな料理こそが一番なのではないかと思いました。以来、新鮮でピュアな食材を使い、その味を引き出そうと考えています。
myfood:アラスカの代表的な食材とはどんなものがありますか?
ローガン:アラスカはやはりシーフードが有名です。サーモン、タラ、オヒョウ......ほかにもエビ・カニ・貝類、そして海藻類も豊富です。そして山に行くと山菜も採れます。
myfood:いまおっしゃった食材が美味しいのはなぜでしょうか。アラスカの土地の特徴をお教えください。
ローガン:やはり自然環境が優れているのだと思います。海の水はピュアでクリーンですし、温度や湿度のバランスがすぐれているんです。私はアラスカの食材の最大の魅力は「サステイナビリティ(持続的発展性)」だと思っています。「サステイナビリティ」とはアラスカの食材の全体のテーマでもあり、私が食材にとって最も重要なことだと考えている要素です。
myfood:ローガンさんが総料理長をしている「タトカベイ・ロッジ」で自慢のメニューがあれば教えてください。
ローガン:「タトカベイ・ロッジ」がオープンしているのは5月から9月の間になります。その時期は漁師が海で獲った魚介類が約30分でキッチンに届けられます。新鮮な魚介類をそのまま料理に使えるのです。また、ホテルの菜園では芽キャベツ、フダンソウ、絹さや、色々な種類のレタス、ビーツなどを育てていますので、そちらも新鮮なまま料理することができます。こういった新鮮な食材をつかって、調理できるのが「タトカベイ・ロッジ」の特徴ですね。私の自慢のメニューですが、紅さけをソテーして、レーザークラム(アゲマキ貝)のソースをかけ、ワイルドベジタブル(山菜)を添えた料理です。
myfood:「タトカベイ・ロッジ」は2012年アメリカ大手の『フォーダー・トラベル・ガイド』誌で「世界のベストホテル100」に選ばれたそうですね。こちらに選ばれたときの感想をお聞かせください。
ローガン:我々のサービスや努力が高く評価されたことが非常に光栄でしたし、うれしかったです。「タトカベイ・ロッジ」では釣りやハイキングをしたり、ベアビューイング(クマの見学ツアー)もできます。宿泊客が釣った魚を持ち込んでくだされば、料理してお出しすることもできますし、「タトカベイ・ロッジ」のクッキングスクールに行けば、アラスカ料理のレッスンを受けることもできます。アラスカの自然をたっぷりと味わうことができるのです。
myfood:もしよろしければ、日本でも簡単に楽しめる、アラスカ料理のレシピを教えていただけますか?
ローガン:アラスカといえばサーモンなので、サーモンの料理をお教えしましょう。サーモンの皮を出汁でボイルして、そのソースを生食のサーモンの薄切りにかけるんです。それで出来上がり。「スローポーチドサーモン」という名前にしましょうか。表面だけ軽くボイルされたサーモンのおもしろい食感とサーモンの薫り高いソースで楽しでいただけると思います。是非ためしてみてください。
【関連サイト】
>>「タトカベイ・ロッジ:WEBサイト(英語のみ)」はこちらから
>>「アラスカシーフードマーケティング協会:WEBサイト」はこちらから
【関連ページ】
>>「特集:アラスカの魅力は天然にあり」はこちらから
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