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クローズアップインタビュー

クローズアップインタビューVol.39 :シンプルに美味しさを追求する 吉岡浩太さん

クローズアップインタビューVol.39 :シンプルに美味しさを追求する 吉岡浩太さん

クローズアップ・インタビュー第39回目は『ATELIER KOHTA』のオーナーパティシエ、吉岡浩太さんです。街のケーキ屋さんでありながら、店の奥にはなぜかカウンターコーナーがあるATELIER KOHTA。常にお客様目線で美味しさを追求する吉岡さんに、スイーツへのこだわりとアメリカ食材の可能性をお聞きしてみました!

myfood:昨年(2012年)の夏にアメリカンナッツのイベント「アメリカン・ナッツ・カフェ」が開催されたとき、吉岡さんはステージでクッキングデモンストレーションをされていました。そもそもこのイベントに吉岡さんが参加されたきっかけはなんだったのでしょうか?

吉岡:それはまずうちの店の説明からさせてください。うちにはテイクアウトのメニューとイートインがあって、イートインが少し変わってるんです。 ATELIER KOHTA店内(カウンター)カウンターを挟んで、お客様の目の前でデザートを作っています。これをライブクッキングと呼ぶ人もいますが、そこまでパフォーマンスをしてるつもりはありません。ただより良いデザートを考えたとき、できたてが一番だろうと。そうなると目の前で作る寿司屋さんのようなスタイルに自然となっていきました。そしてこのイートインのお客様にナッツイベントの関係者がいらして、お話をいただいたんです。お話を聞いて、それはなんだか面白そうだなと思って参加しました。

myfood:たしかにこのカウンターなら吉岡さんとの距離も近いからいろいろお話できそうですね。ナッツイベントではアメリカンピスタチオとアーモンドのケーキも大好評でしたが、やはり美味しさを追求するとできたてになるんですね?

吉岡:テイクアウトは持って帰ってたべるということを想像しなければなりません。移動中に形が崩れないようにゼラチンを使ったり、細かな温度管理が必要じゃないレシピにする必要があります。でもイートインならそうした制約がないですよね。あたたかいデザートとアイスクリームの組み合わせもできます。冷製デザートは冷たさの適温もそれぞれ違います。アイスクリームはマイナス18℃でムースは5℃とか。そういう適温の美味しさもタイムラグなしにお出ししようと思ったら、こういう寿司屋さんみたいな感じになりました。あと、ニューヨークにChikaLiciousというお店があるんですよ。すごくカジュアルな感覚でデザートを楽しむ店なんですが、そこの影響もけっこうありますね。

myfood:吉岡さんはそもそもそういうアメリカンなパティシエなんですか?

吉岡:いえ、僕はフランス菓子です。初めは明治記念館で基礎を学びました。それからロンドンに本店があるフレンチレストランで働いて、数年後にパティシエの2番手としてロンドン本店でも働きました。ロンドンの店は本当になんでもありで、そのときに「ああ、美味しければなんでもいいんだ」と思うようになったんです。それからはとくにフランスにこだわるわけじゃなく、いいなと思ったものはどんどん取り入れるようになりました。

myfood:フレンチって伝統を重んじて変化を嫌うイメージがありますが、吉岡さんが経験した現場は違ったんですね。

吉岡:星付きフレンチなのに料理でキムチを使ったりデザートに山椒を使ったり、かなりなんでもありでした(笑)。それにお客様がみなさんわがままなんです。ビクトリア・ベッカムさんがいらしたときはクレープのオーダーが入りましたから。それはメニューにないんです。でも後輩のジェームズくんに具材を買ってきてもらって作りました。そういうことが日常的だったので、仕事に対する考え方はずいぶん変わりましたね。

myfood:いろいろ経験することで作るデザートも変化しましたか?

吉岡浩太さん吉岡:かなり変わりました。とにかくシンプルになりましたね。いい食材はその状態を活かしたほうが美味しい。そしていい食材同士をどう組み合わせたらもっとも相乗効果が発揮されるかを考えます。海外へ出るまでは、とにかく複雑にしてました。でも食べて美味しいと感じるのが一番だなと考えるようになってからは、どんどんシンプルになっていきましたね。いわゆるショートケーキにしても蜂蜜や水飴、卵黄とか複雑にするレシピもありますが、うちはいま牛乳、卵、砂糖、小麦粉、バターだけです。シンプルにすることで作り方がわかりやすくなります。シンプルですが、おかげさまでお客様には好評です。

myfood:シンプルに美味しさを追求する吉岡さんにとって、アメリカ食材の使い勝手はいかがでしょうか?

吉岡:デザートに関係するアメリカ食材ではとにかくフルーツですよね。オレンジを中心に、フルーツは日本の消費者がもっとも消費してるアメリカ食材でしょう。それは僕も同じです。あとはドライフルーツ。いちじくやレーズンはこれまでにも使ってきました。アメリカのドライフルーツはしっかりしてます。もちろんフランス産もいいんでしょうが、高いんですよ(笑)。僕はいい素材で適正な値段を見極めるのも大事な仕事だと思っています。そういう意味ではアメリカ産の食材はコストパフォーマンスに優れたものが多いんですよね。

myfood:「アメリカン・ナッツ・カフェ」に参加しての感想や発見はありますか。

吉岡:それまでピスタチオはずっとヨーロッパのを使ってたんですが、ナッツイベント用に作ったケーキで初めてアメリカ産を使ってみました。ペーストはすごく風味が柔らかでケーキの生地に混ぜ込むとまろやかになります。さらに砕いたピスタチオも混ぜることで食感と味のバランスも良くなりました。今後も使い勝手はありますね。それと会場ではクッキングデモでクレープシュゼットを作りました。これは焼いたクレープをキャラメルとオレンジのソースで煮上げるデザートですが、ソースにカリフォルニアアーモンドを入れてみました。もともとオレンジとアーモンドの相性はいいんですが、カリフォルニアアーモンドの塩味がクレープシュゼットにはかなりあっていたと思います。

myfood:実際に会場での試食も大好評でしたね。次の機会もぜひよろしくお願いします。今日は美味しくてためになるお話をありがとうございました!



クローズアップインタビューVol.39 シンプルに美味しさを追求する 吉岡浩太さん/ATELIER
KOHTA

ATELIER KOHTA
住所:東京都新宿区神楽坂6-25
電話:03-5227-4037

【関連サイト】
>>「ATELIER KOHTA:WEBサイト」はこちらから

【関連ページ】
>>「アメリカ食材辞典:オレンジ」はこちらから
>>「アメリカ食材辞典:いちじく」はこちらから
>>「アメリカ食材辞典:レーズン」はこちらから
>>「アメリカ食材辞典:ピスタチオ」はこちらから
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