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クローズアップインタビュー

クローズアップインタビューVol.37 この料理にこの食材は必要か、常に自問自答する 氏家健治さん

クローズアップインタビューVol.37 この料理にこの食材は必要か、常に自問自答する 氏家健治さん

クローズアップ・インタビュー第37回目は『ケンズカフェ東京』のオーナーシェフ、氏家健治さんです。美味しいガトーショコラの店として有名なケンズカフェ東京ですが、そもそもはフレンチレストランでした。フレンチシェフながらアメリカ食材や食文化も柔軟に取り入れてきたという氏家さんに、その理由とアメリカ食材の魅力を聞いてきました!




myfood:氏家シェフには7月22日のアメリカ大使館農産物貿易事務所主催『アメリカン・ナッツ・カフェ』イベントにも出店していただきまして、ありがとうございました。

ガトーショコラ氏家:ガトーショコラにアメリカン・アーモンドを混ぜて焼いてみました。普段ナッツ類を混ぜることはないんですが、アメリカのナッツが美味しいってことを僕は知ってましたから。でもあれからさらにいろいろ試してみたんですが、混ぜるよりは上に乗せたほうが美味しいですね(笑)。混ぜると水分を吸っちゃう。乗せるとガトーショコラのしっとり感とアメリカン・アーモンドのサクサク感がよく合います。

調理する氏家シェフmyfood:氏家シェフのガトーショコラは、本当にしっとり滑らかですよね。普通のガトーショコラとまったく違う仕上がりですが、秘訣はなんでしょうか。

氏家:良質のチョコを仕入れることと、小麦粉を使わないことです。ガトーショコラのレシピには小麦粉が入っているのが普通です。でも僕は、料理するとき「その食材は本当に必要なのか」「その調味料は本当に必要なのか」と常に自問自答するようにしてるんです。そこで「ガトーショコラに小麦粉は本当に必要なのか」と自問自答しながら徐々に減らしてみて、最後はまったく入れずに焼いてみたらこの味になりました。

myfood:みんなが普通に使っている食材レシピを疑問視するって、勇気がいるし手間もかかりそうですが。

氏家:シャンパン生産者でジャック・セロスという神様みたいな人がいるんですが、その人は常に自問自答するんです。シャンパンはシャンパングラスで飲むのが普通ですよね。でも彼はそれすら疑問視して、最終的に良質のシャンパンはワイングラスに似た形状の方が美味しいという結論に至るんです。同じように料理でも自問自答は必要だと思います。たとえばコメは本当に日本産が最高なのかと考えてみます。そしていろいろ試すと、カリフォルニアのカルローズ米だってすごく美味しいことがわかる。日本米の最高ランクと比較したら別ですが、基本的にあれは日本人が好む味ですよ。しかも丼物やカレーなどとは相性が最高です。こういう食材探しの努力をしなければ、シェフは終わりだと僕は思ってますから。

myfood:アメリカン・ナッツのことをご存知だったのも、食材探しの成果ですか?

氏家健治シェフ氏家:ナッツだけじゃありませんよ。フランス料理でもっとも大衆的なステーキはバベットステーキといいます。ハラミ肉のステーキなんですが、これはアメリカン・ビーフが一番おいしいんです。スイカだってアメリカ産のおいしさを知ったら、もっともっと日本でも売れるでしょうね。日本人ってフランスやイタリアって言葉に弱いじゃないですか(笑)。でも単純に食べてみればおいしいアメリカ食材ってすごく多いんですよ。それを知らないのはもったいない。アメリカでシーザーサラダを食べたときは、アメリカン・チーズのおいしさに驚きました。フレンチのシェフだと、どうしてもチーズはフランスと思いがちですが、あのアメリカン・チーズのおいしさは今も忘れません。チーズのついでに言うと、ワインも醸造技術に関してはアメリカが一番しっかりしてますよね。フランスのワイナリーを継ぐ世代たちのほとんどはアメリカでワインの勉強をしてるぐらいです。

myfood:アメリカでワインの醸造技術がそこまで発展したのは、なぜだとお考えですか?

氏家:そうでしょうね。追いつけ追い越せではいつまでも本家にかなわなかったかもしれません。フランスの真似をしなかったから、今のアメリカワインがあるんだと思います。アメリカの成功を知って、チリのようなワイン新興国が追随し、またスペインのような伝統国でも新たなワイン生産に拍車がかかりました。どちらも今や非常にクオリティの高いワインを生産しています。

myfood:お話を聞いていると、アメリカ料理シェフのようですね(笑)。

氏家健治シェフ氏家:偏見や決まりごとに縛られず、いいものはいいと考えているだけです。正直言ってアメリカワインは、しっかり味わうまで少し引いて見ているところがありました。でも飲んでみたらおいしい。自分の中に偏見を持つことは自分が損をするだけです。僕は今、ガトーショコラを売っていますが、これがダメになったらアメリカのクッキーを売りたいなと思ってるんです(笑)。アメリカ西海岸で有名なクッキーなんですが、日本には5年くらい進出して撤退しちゃった。でもこれがおいしいんですよ。機会があったらぜひもう一度日本に紹介したいです。

myfood:ぜひガトーショコラと一緒に販売してください!
アメリカ食材や食文化の魅力をたくさん話していただきありがとうございました。最後にmyfood読者へメッセージをお願いします。

氏家:もちろんアメリカ食材だけが素晴らしいわけじゃありません。いろいろな国のおいしい食材で料理はできています。だから料理は世界旅行みたいなものです。食べながらいろいろな国を旅してください。いろいろな料理の中に、おいしいアメリカを見つけてみてください。



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