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クローズアップインタビュー

クローズアップインタビューVol.36 繊細かつシンプルな最先端アメリカ料理を目指す 板垣大輔さん

クローズアップインタビューVol.36 繊細かつシンプルな最先端アメリカ料理を目指す 板垣大輔さん

クローズアップ・インタビュー第36回目は『オレゴン バー&グリル』の板垣大輔シェフです。豊かな海と大地に恵まれたオレゴンは新鮮食材の宝庫。それらを活かしつつ、板垣シェフは丁寧で新しいアメリカ料理にこだわり続けています。目指すは「ニューヨークの最先端アメリカ料理」という若きシェフが、いまも変化するアメリカ料理について語ってくれました。




myfood:さきほど運ばれていくステーキが近くを通りましたが、とても風味豊かな香りでした。

板垣:うちはチャコールグリル、炭火焼なので、炭の風味が食材に染み込むんです。炭火焼は食材の良さがストレートに反映されます。だから生かすも殺すも料理人次第。炭火焼はここで働くようになってからなんですが、ガス台と違って火の調節が難しい。その中で食材のポテンシャルをしっかり引き出せるようになるまでが大変でしたね。

myfood:チャコールグリルをする前はどんな料理を?

板垣:ホテルのフレンチレストランです。

myfood:フレンチからアメリカンへ、違いも多かったでしょう。

板垣大輔板垣:そうですね。フレンチではずっとソースを作っていましたが(笑)、ここではほとんどソースを作りません。食材の良さを炭火で引き出すために、味付けは塩コショウという場合が多いんです。仕事がとてもシンプルになりましたね。シンプルなだけにごまかしがききません。肉の切り方でも炭火焼には最適な厚みがあって、それ以上でも以下でもいけないんですよ。こういうときフレンチなら多少薄くてもソースでカバーできたんですが、ここではできない。厚みだけじゃなく食材の状態によっても火の入れ方は変わります。炭のほうもどんどん変化していく。シンプルな仕事ですが、同時に職人技が求められる仕事ですね。


myfood:シェフ自身、アメリカ料理に持っていたイメージと大きく違っていたのではありませんか?

板垣:違いました。アメリカ料理って"決まってない"んです。フレンチであれば伝統を受け継いで極めていくことを目標にするでしょう。でもアメリカ料理は創造して発信していくことができる。いま僕はニューヨークの最先端アメリカ料理を目指しているんですが、あのスタイルは非常に斬新ですね。「え、この食材とこの食材を合わせるの?」っていう意外性や、しっかりしたフレンチの技法が入っていたり、和食の要素もあったり、それでいて繊細かつシンプルなんです。

myfood:そういう大きな変化も柔軟に対応しちゃうところがアメリカ料理なんでしょうね。

板垣大輔板垣:本当にそれまでのものから大きく変化してますね。一番は野菜をすごく使うようになったことでしょう。しかもニューヨークではレストランが栽培したり契約農家から仕入れたオーガニック野菜を使う店が増えてます。うちでもいま能登からオーガニック野菜を送ってもらってますが、味の甘さと濃さがすごいんです。これは食べてみればはっきりわかります。こういう良質な食材の仕入れにこだわって、食器にこだわって、盛り付けるとき色のバランスにこだわると、そのひと皿はシンプルだけどアートっぽく目から楽しませてくれるんです。

myfood:それは和食の世界に似た感覚ですね。

板垣:目指してるところは似てるもしれません。最近は休みの日に合羽橋とかで食器を見ることが多いんですよ。アメリカ料理にきて、野菜にこだわったり食器にこだわったりするようになるとは思いませんでした(笑)。

myfood:店名にもなっているオレゴン州といえばワインの産地でもありますが、オレゴンワインとの相性も料理に影響しますか?

板垣:カリフォルニアワインはワインだけで楽しめますが、オレゴンワインは食事と一緒に味わうと最高です。それは透き通るようなクリーンで主張しすぎない味が、食事を邪魔しないからです。だからシンプルに食材の美味しさを引き出しておけば、オレゴンワインとの相性は心配ありません。ちなみにアメリカは最近、ワインの消費量が世界一になったんですよ。ワインをよく飲むようになったということは、ワインに合わせて食事も変わってきたということです。こういうことからもアメリカ料理が変化しているってわかりますよね。

myfood:炭火焼とアメリカ食材との相性はいかがですか。

板垣大輔板垣:うちではアンガスビーフを使ってますが、良質の赤身肉と炭火焼の相性は抜群です。逆に霜降り和牛を炭火焼したら、大量に脂が落ちて大変なことになるでしょう。ただ、ニューヨークで炭火焼ステーキを食べたときは驚きました。中は絶妙なミディアムなんですが、表面は真っ黒に焦げてた。たとえニューヨークではそれがスタンダードでも、あの真っ黒は日本で受け入れてもらえないでしょう。そういう意味では全部が全部を真似するんじゃなくて、これからもアメリカのいいところと日本のいいところを上手に融合していきたいですね。 それといま(2012年7月)、アラスカシーフードフェアをやってるんですが、天然のアラスカサーモンと炭火焼の相性も最高です。脂の乗りすぎていない天然ならではの引き締まった身が、炭の風味をしっかりと吸収してます。フェアを始めてすぐ「あのサーモンが美味しかったから、また来たよ」というリピーターのお客様がいたほどです。

myfood:日本では焼き鮭がお馴染みです。つまりそれほど舌が肥えているのに思わずリピーターとなってしまうのは、それだけ食材が良質であるということと技術がたしかであるという証明でしょう。

板垣:アメリカングリルの店って、きっとこんなもんだろうっていうお客様を、これからもいい意味で裏切っていきたいですね。「こんなに繊細な仕上がりになるんだ」とか、「あ、このステーキは本当に美味しいな」って、料理で感動を与えられるように頑張っていきます。

myfood:本日はありがとうございました!



The OREGON Bar&Grill

オレゴン バー&グリル
東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンタービル42F
03-6215-8585


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