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クローズアップインタビュー

クローズアップインタビューVol.19 日本人オーナー辻本憲三氏が手がける、珠玉のカリフォルニアワイン

クローズアップインタビューVol.19 日本人オーナー辻本憲三氏が手がける、珠玉のカリフォルニアワイン

クローズアップインタビュー第19回目のゲストは、ケンゾーエステートワイナリージャパンCOO藤井雅彦氏。オーナー辻本氏の着想から20年、今年グランドオープンを迎えたケンゾーワインの魅力についてお話をうかがってきました。更に今回はカリフォルニアから女性醸造家のハイディさんのメッセージもいただきました!

※辻本憲三・・・奈良県出身。株式会社カプコンCEO。KENZO ESTATEオーナー。著作権協会(ACCS)理事長、コンピュータエンターテインメント協会前会長などを歴任。1980年、紺綬褒章を、2007年に藍綬褒章を受賞している。

myfood:本日はお時間をお取りいただき、ありがとうございます。よろしくおねがいいたします。

藤井:こちらこそ、よろしくお願いします。

myfood:この夏、ナパのワイナリーがグランドオープンされたとのこと、おめでとうございます。因みに今年のぶどうはいかがでしたか?

藤井:今年は冷夏が続いたせいで、収穫は例年より遅くなりましたが、その分、ぶどうが十分に熟し、出来はとても良かったようです。

myfood:確か、ワイナリーは広大な敷地だと聞いていますが・・・。

クローズアップインタビューVol.19 日本人オーナー辻本憲三氏が手がける、珠玉のカリフォルニアワイン

藤井:はい、ワイルドホースバレーと呼ばれる、もともと馬術競技場として使われていたところに、ワイナリーはあるのですが、その敷地は、ちょうど中野区と同じくらいの広さを有しています。ただ、ぶどうの畑は、そのごく一部。行っていただくと解るのですが、緑深い山々に囲まれて、忽然と美しいぶどう畑があるのです。とても素晴らしい景色ですよ。

myfood:中野区と同じ!やはりアメリカは規模が違いますね。

藤井:はい、この広さも私どものワインの強みを作りだしてくれているんですよ。

myfood:どういった強みですか?

クローズアップインタビューVol.19 日本人オーナー辻本憲三氏が手がける、珠玉のカリフォルニアワイン

藤井:私どもの畑はとにかく広大な土地の中にあるので、周りを山にガードされているような感じなんです。ですから道路沿いの畑などとは違い排気ガスなども浴びていませんし、そういった意味でとてもピュアな状態に育っています。ですので味に雑味がないんですよ。手前味噌になりますが、ぶどうの葉の向きも形も揃っている光景には自然の素晴らしさを感じますよ。

myfood:なるほど!それはうかがってみたいですね。因みに辻本氏が世界の他の土地ではなく、アメリカ、それもカリフォルニアを選ばれた理由は何だったのすか?

藤井:その理由はふたつあります。まずはオーナーである辻本のビジネス拠点が、もともとカリフォルニアにあったこと。ナパ・ヴァレーに馴染みが深かったというのはありますね。次に辻本は世界中の名だたる名醸地のワインを飲みつくしているのですが、それらを飲み比べていく中で、ナパが生むプレミアムワインの可能性を強く感じたということがあげられます。

myfood:そうだったんですね。世界を見た上で選ばれたというのはいいですね。他に何か特筆すべき魅力はありますか?

藤井:そうですねぇ、オーナーの辻本がこだわっているのは、お料理をじゃましないワインであること。できるだけ多くの方々に、お料理と一緒に美味しく味わっていただけるようなワインづくりを心がけています。やはり、いいワインだからといって、むやみに寝かしてしまい、口にされないようでは意味がありません。

myfood:なるほど、なるほど。

藤井:ですから、ケンゾーエステイトのワイナリーではテイスティングと共にBouchonのサンドイッチを合わせて楽しんでいただいています。Bouchonといえば、有名シェフであるトーマス・ケラーの全店舗で私どものワインを扱っていただいています。このことにより、全米でも私どものワインは大いに注目を集めています。

myfood:それは素晴らしいですね。東京ではレストランも一緒にやられていますよね?

藤井:はい、ただ、こちらは、レストランというよりも、テイスティング・バーという位置付けです。お食事のご用意もありますが、私共のワインを味わっていただくことを目的とした場所です。

myfood:先ほどお食事にあうワインというおっしゃっていましたがレストランのメニューでは何がいちばんお勧めですか?

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藤井:肉じゃがですかね。あと、玉ねぎと和牛のバラ焼き(笑)

myfood:?????

藤井:(笑)美味しいですよ。それと忘れてはいけないのがカレーですね。

myfood:ワインとカレーですか?????

藤井:そうなんです、これ人気ですよ。ぜひ、今度召し上がってみてくださいね。このカレー、実はオーナーがよく作ってくれるレシピでお出ししているんですよ。

myfood:辻本さんのですかぁ・・・面白いですね。辻本さんはよくお料理されるんですか?

藤井:好きですね。スタッフのためによくBBQもやってくれますし、家庭的なお料理も多彩にこなされます。私どもの赤は、洋食・和食を問わず、合わせやすいワインなんですよ。

myfood:和食と赤ワインの"rindo(紫鈴)"、いいですね!

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藤井:ええ、私は結構、海鮮と合わせるのも好きでお寿司もうちの赤で食べたりしますね。

myfood:お寿司にあう赤っていうのは斬新ですね。さきほどいただかせていただきましたが個性はしっかりとあるけれども、喧嘩をしないワインという感じがしました。あと噂に聞いたのですがこちらのレストランではワインにあわせた面白いコースがあるとか?

藤井:おまかせのプライベートメニューですね。

myfood:それです、それです!どういった内容なのでしょうか?

藤井:こちらはお1人様4,000円からで、お客様のお好みに合わせてご提供する、そのお客様だけのメニューです。私どものワイン4種、それぞれのグラスに合わせてお料理をご提供することもできます。

myfood:なるほど、それぞれのグラスにあったお料理が自分の好みの食材と共にいただけるんですね。先ほど赤のお話は出ましたが白はどういったワインなのでしょうか?

藤井:"asatsuyu(あさつゆ)"というワインがあるのですが、こちらはステンレス発酵と樽発酵の両方を用いた、華やかな芳醇さの中に清涼感の引き立つソーヴィニヨン・ブラン。しかし、ミネラリーな中に適度な厚みがあり、リッチな味わいを感じさせてくれます。

myfood:確かにグラスから香りを感じた際といただいた際にいい意味でのギャップがとてもあって面白いワインですよね。さて藤井さんは編集者(元「東京カレンダー」編集長)からこちらへと転身されたわけですが、何か心境の変化などはございましたか?

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藤井:もともとカリフォルニアワインは個人的にも好きでよく飲んでいましたし、仕事でも食関連のことを扱っていましたので、日常的には実はあまり心境の変化といったようなものは感じてはいないんです。ただ、オーナーの辻本にナパのケンゾーエステイトワイナリーに初めて招かれたときは、本当に驚きに近い感動を覚えましたね。そして、それを造り上げた日本人オーナーである辻本憲三という人物に、本当に魅了されました。

myfood:醸造家のデビットさん、ハイジさんもおっしゃっていますが辻本さんの魅力というのもケンゾーエステイトのワインには欠かせないポイントのひとつのようですね?

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藤井:はい、ご存じのように辻本はカプコンというゲームエンターテインメント産業の旗手となる企業を今日まで導いてきたビジネスマンなわけです。当然ながら多忙な毎日なわけですが、そんな中、このワイナリーも趣味や片手間といったことではなく、カプコン同様に100%以上の情熱とエネルギーを注ぎ込んでいらっしゃる。どうせやるなら本格的に世界一のワインを目指そうと。ですからテロワールの素晴らしさだけでなくオーナーの魅力が醸造家達のやる気を引き出して、素晴らしいワインが出来ているという部分があると思いますよ。

myfood:いいお話ですね。今年、グランドオープンされて4ブランド(藍、紫、紫鈴(rindo)、あさつゆ)からスタートされたわけですが今後、何か新しい展開は予定されていますか?

藤井:まぁスタートから4銘柄を揃えたこと自体が快挙と言えますし、まずはそれらをみなさまに知っていただくことが一番ですが、実は来年、ロゼをリリースする予定でいます。

myfood:ロゼ!いいですねぇ。もう名前は決まっているんですか?

藤井:「yui(結)」といいます。

myfood:素敵な名前ですね。早く「結」に会いたいです!本日はありがとうございました。

藤井:こちらこそ、ありがとうございました。


KENZO ESTATE WINERY

Thomas Keller restaurant group





From ハイディ・バレット


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myfood:あなたは「ワインの歌姫」とも呼ばれるほど今までに数々のすばらしい業績をカリフォルニアワインの世界で成し遂げてきているわけですが、なぜ、ケンゾーエステイトのコンサルティングをしようと思われたのですか?

ハイディ:辻本憲三という日本人が、名栽培家デイビッド・アブリューと組んで、ワイルドホース・ヴァレーで、葡萄畑を作り始めたという噂は、またたく間にナパに広がりました。もちろん、私の耳にも届いたのは言うまでもありません。当時、私は、すでにいくつかのワイナリーで、コンサルティングをしておりましたから、普通なら、特に気にする話題でもなかったのですが、ワイルドホース・ヴァレーという場所の名を聞いて、ちょっと興味が湧いたのです。なぜなら、その地は、私が幼い頃から、両親とともに乗馬を愉しんだりして、とても慣れ親しんでいた場所だったからです。そこで、ちょっと葡萄畑を覗いてみたくなったのです。 最初は、ほんの軽い気持ちだったのです。しかし、いざ、ワイルドホース・ヴァレーへと出向いてみると、いけどもいけども森ばかりで、いったいどこに葡萄畑があるのやら、皆目見当がつきませんでした。あとから聞いた話ですが、『ケンゾー エステイト』は、ワイナリーの開業直前まで、現地のワインメーカーたちの間で、"神秘のワイナリー"という異名を持っていたようですが、その名の通り、その葡萄畑は、すっぽりと森に覆われていて、誰もそれを目にすることができなかったのです。しかし、そんな深い森の中でようやく出会った葡萄畑は、とても素晴らしいものでした。大自然に囲まれた丘陵地は、地形や土壌も良く、気候条件にも恵まれていました。

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そのテロワールに、ディビッドが惹かれ、その繊細なる感性を見事に開花させていることを実感しました。でもそれと同時に、あの頑固一徹なデイビッドに、ここまで素晴らしい仕事をさせる日本人とは、どんな人物なのか、ということがとても気になりました。そして出会った辻本憲三という日本人は、ビジネスマンとしてすでに大いなる成功を収めていた人物でしたが、ワインづくりに対して、ひたむきな姿勢を貫く真っ正直な人でした。その情熱に惹かれ、彼と一緒に世界最高峰のワインを目指してみたくなったのです。

myfood:なるほど。因みに初めてのソーヴィニヨン・ブランを『ケンゾー エステイト』で手がけた理由は何だったのですか?

ハイディ:答えは簡単! 辻本憲三オーナーのリクエストだからです(笑)ご存知のように、私は、これまでカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、様々な赤ワインを手がけてきましたので、ソーヴィニヨン・ブランの醸造は、興味深い試みだと感じました。ミネラリーな清涼感と独特の厚みを持った、非常に魅力的な逸品に仕上がったと自負しています。

myfood:今からいただくのが楽しみです。日本のアメリカ(カリフォルニア)ワインファンに一言お願いします。

ハイディ:はい。ナパ・ヴァレーには、皆さんが思っている以上に数多くのワイナリーがありますが、その中でも、『ケンゾー エステイト』は、群を抜いて美しいワイナリーです。ぜひ、一度、ワイナリーを訪れていただき、豊かな自然の中で育まれた、澱みのない純粋な葡萄の素晴らしさを実感してみてください。

クローズアップインタビューVol.19 日本人オーナー辻本憲三氏が手がける、珠玉のカリフォルニアワイン