Home>週刊myfood>クローズアップインタビュー>第六回:アメリカ大麦農業に見る"顔が見える農業"と"日米交流"

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クローズアップインタビュー

TITLE:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見る

クローズアップインタビュー第六回目ゲストはアメリカから来日中の大麦農家のリチャード・グローブン氏(Richard Groven:ノースダコタ州大麦委員会副会長)とナショナルバーレーカウンシルのサム・ホワイト氏(Sam White:PNW生産者組合 最高業務執行責任者(CFO)にお話をうかがいました。

インタビューをお読みいただく前に大麦について。 IMG:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見るアメリカから日本に輸入されている大麦(Barley)はもち種の大麦なのでモチモチとした食感が特徴で、大人はもちろん子供にも親しみやすさを持っています。また日本人に不足しているといわれる食物繊維(食物繊維には不溶性と水溶性の2種類あるのですが、大麦はこの二つを兼ね備えていて、なおかつ水溶性繊維が従来の大麦の約2倍含まれることが特徴)やカルシウムを多く含んでいます。また最近では心疾患の予防効果があることが報告されていますので生活習慣病の多い日本人には今後積極的に食べてもらいたい食材です。


myfood:本日はお忙しいところ、お目にかかれて光栄です。まず最初にグローブンさんのお仕事について少し伺いたいのですが現在はどのような規模でお仕事をされているのでしょうか?

グローブン:ノースダコタに2000エーカー(東京ドーム約174個分!)ほど畑を持っていて、そこを二人でやっている家族経営です。規模としては中規模でしょうか?

myfood:えぇ、そんなに広いところをお二人でやってらっしゃるんですか?しかもそれで中規模なんですか?

IMG:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見る

グローブン:日本は土地が狭いのでそう感じられるかもしれないですね。アメリカはわりとみんな広い土地でも家族経営で農業をやっている人が多いんですよ。もちろん忙しい時期には兄弟など助っ人を頼む時もありますけどね。

myfood:アメリカの農業というと大規模で工業的なイメージがあったのですが、意外とアットホームな雰囲気でやってらっしゃる方が多いんですね。グローブンさんはどうして農業をお仕事にされようと思ったんですか?

グローブン:もともと農家一家の生まれなんです。日本的にいうと5代目になります。大学で農業管理などを中心に勉強し、卒業後親から今の土地を買ってそこの1代目になりました。

myfood:なるほど。扱ってらっしゃるものは大麦だけですか?

グローブン:メインは大麦ですが、他にも大豆、コーンなどを作っていますよ。

myfood:なぜ大麦をメインに作られているんですか?

グローブン:うちは代々大麦農家なんですよ。またノースダコタの涼しい天候の中で長い時間をかけて育てられる気候が大麦栽培に向いているというのもありますね。

myfood:なるほど。農法などでこだわってらっしゃることはありますか?

グローブン:農業というのはバックグラウンドには研究者がいるんですね。その人たちが新しい種を育種、開発します。ですからそれらの中から自分の農場にあった種を選ぶようにし、あとは注意深く、成長を見て、問題に対処し、雑草など、作物の成長に悪い影響がないようにベストを尽くすということです。これがいい品質の作物を作る私のこだわりです。また私は大学のシステムを活用して最新のテクノロジーについて毎年、学び続けています。

myfood:素晴らしいですね。

グローブン:ありがとう。それから農薬などについてもEPA(環境保護庁)から許可されたものを、承認された方法で適切に使っています。農業資材については、私たちはとても厳しいガイドラインに従って使用しているので、肥料も除草剤もどうしても必要な場合のみ使い、そうでないときは使わないです。また使用について監督をする人もいるので監視を受けた中で使っています。

IMG:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見る

myfood:そうなんですね!これは日本人のアメリカ農業に対するイメージを変えるお話だと思います。

グローブン:はい。肥料や農薬についての記録はいつでもオープンにできるように、説明できるようにといことを心がけてとっています。またこれらは消費者の方達にも公表しています。

myfood:例えば日本の消費者がそれを知りたい場合にも教えてもらえるものなのですか?

グローブン:もちろんです。僕に連絡をくれればいいですよ。私たちは農薬を買う時に資格を見せ、署名をして買うという規制がある中で農業をやってるということを日本のみなさんんにも知ってもらいたいですね。常に安全性ということには細心の注意をはらって作物を育てています。

myfood:今回、グローブンさんのお話をうかがえてよかったです。日本では最近、作り手の顔が見えるということを重視する消費者が多いのですがアメリカの農家の方の顔がグローブンさんのように見えるととても安心感につながります。

グローブン:なんでも聞いてください。

myfood:ありがとうございます。ところでグローブン家では大麦をどうやって召し上がっていますか?

グローブン:スープです。私はこれを飲んで育ちました。母も祖母も作ってくれた我が家で代々飲まれているスープです。

myfood:わぁ、どんなスープなのか興味があります。私も大麦スープ、いろいろと研究してみます。本日はありがとうございました。

グローブン:ありがとう。




※myfoodの読者のために後日、グローブンさんがグローブン家で代々食べられている大麦スープのレシピを送ってくださいました。
ぜひ作ってみてください。

グローブン家の簡単大麦スープ
材料(4〜6人分)
大麦 1/2カップ
玉ねぎ 1個
セロリ 1カップ
バター 大さじ3
小麦粉 大さじ1
チキンスープ 6カップ
塩、コショウ 適宜
(1)
大麦、粗みじんにカットしたたまねぎ、ざく切りにしたセロリを茶色くなるまでバターでいためる。
(2)
(1)に小麦粉、チキンスープ、塩、コショウを加え、中火で1時間強煮たら出来上がり!



さて次はホワイトさんにお話を伺いました。

myfood:本日はよろしくお願いいたします。まずホワイトさんのお仕事についてお聞かせいただけますか?

ホワイト:農家のお金を出し合って作っている組合である農協で大麦のプロモーションをしています。

myfood:具体的にはどんな形でのプロモーションをされていますか?

ホワイト:レシピブックを作ったり、あとはウェブサイトでの情報発信ですね。

myfood:今回の日本にはどのようなお仕事でいらっしゃったんですか?

ホワイト:今回は二つの目的がありまして、ひとつはアメリカの大麦の使用を促進すること。そしても一つは個人的にいろんな企業とコミュニケーションをとるというのがあります。私は今まで日本から数多くの方達の訪問を受けていますので、今回その返礼ができることをとても嬉しく思っています。

IMG:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見る

myfood:今まで日本からどんな人たちがホワイトさんのもとへ伺ったのでしょうか?

ホワイト:大麦を食用に販売されている会社や加工されている会社ですね。今回は麦茶の会社ともお目にかかりますよ。

myfood:「大麦」というとなんだかなじみがないような気がしていましたが、「麦茶」といわれるとものすごく私たちの生活の中に浸透しているものですね。なるほど、麦茶も大麦からできてるんですね。

ホワイト:私たちはもっと日本の方たちにアメリカの大麦を食用に活用してもらいたいと願っています。ただ食用に大麦をというのは日本だけではなく、アメリカでもまだまだ新しい食材としての位置づけにあるので、健康にいいという点をもっと強くアピールしたいですね。

myfood:なるほど。大麦というと食物繊維が多いのでダイエット向けの食材としても今後注目が集まるのではないかと思いますが、そのあたりについてはいかがですか?

IMG:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見る

ホワイト:まだ食用としての大麦市場があまり広がっていないのでそれもこれからだと思いますが、GI値も低く、コレステロールを抑制したり、糖尿病を予防するのにもいいのでぜひ活用してもらいたいですね。

myfood:まずは食用としての大麦の認知拡大を推進ですね。因みにホワイト家では大麦をどのように召し上がられていますか?

ホワイト:まず毎日のようにスープを飲んでいます。それからボイルした大麦をサラダにまぜたり、それからお勧めなのはベイカリータイプの大麦で作った固めのパンですね。

myfood:やはりホワイトさんのお宅でもスープがメインなんですね。最近では日本でもスープ用の大麦が売っているので、レシピなどの紹介を積極的にやっていきたいと思います。本日はありがとうございました。

ホワイト:ありがとうございました。

協力:
アメリカ穀物協会
IMG:クローズアップインタビューVol.6 アメリカ大麦農業に見る