
2016年9月23日から25日まで東京ビッグサイトで開催されていた「ツーリズムEXPOジャパン2016」で、「TASTE OF AMERICA CAFÉ 」オリジナルカフェが出店されました。
期間中、旅とつながるカフェをコンセプトに「ガンボ」「スライダー」等アメリカの都市を代表するフードメニューやドリンクを提供。また、アメリカから著名なシェフ2組が来日し、本場の味についてのトークショーが行われました。前回のFox氏に引き続き、来日したシェフのうちの1組でご夫婦でルイジアナ州のレストラン「Hot Tails Restaurant 」と「SAC-A-LAIT」のオーナーシェフをしているCody Carroll (コーディ・キャロル)氏とSamantha Carroll(サマンサ・キャロル)氏に何世代も引き継がれる地元食材を使ったルイジアナ料理についてお話をうかがいました。
Cody Carroll and Samantha Carroll Interview (2016年9月23日。東京ビッグサイトで開催されたツーリズムEXPOジャパン・2016の会場にて)
myfood:日本にようこそ! 日本は初めてですか?
サマンサ:はい、全くの初めてです。3日前に着いたところです。
myfood:日本料理は試してみましたか?
コーディ:初日早朝、築地に直行して市場を見て回ったり、日本料理を食べたりしました!
myfood:朝早くに?
サマンサ:そう! すっごく早朝!
コーディ:朝7:00から寿司とビールでした!でも私たちにとっては夕食ってかんじで問題はありませんでした。時計を見ていなかったので、感覚はアメリカ時間のままだったんですね(笑)。
コーディ:夕べはフレンチとイタリアンの経験のある日本人のオーナーシェフの日本料理レストランに行きました。彼の料理のコンセプトは「自然」で、日本で自然に根付いているものに影響を受けているそうです。それは農業や森にいつも影響を受けている私たちのレストランと良く似ているところがあります。
myfood:お二人ご自身についてとお二人のレストランについて教えてください。
サマンサ:コーディと私は調理師学校で出会いました。2010年1月、私は19歳でCody が23歳のときに調理師学校を卒業して、4月に最初のレストラン「Hot Tails」を一緒にオープンさせました。ザリガニをフィーチャーしたレストランです。主人と主人の両親がザリガニの養殖場を始めていたので、レストランでザリガニが売れるよう、その近くで始めたんです。それから6年後、今から1年半前にニューオーリンズで2軒目のレストラン「SAC-A-LAIT」をオープンしました。ここでの食材はすべてルイジアナ州で収穫・狩猟・漁獲できるものにしています。
コーディ:地元で獲れる食材だけを使っているんです。農作・狩猟・漁から得られた料理を出しています。
myfood:お二人はルイジアナ州のご出身ですか?
コーディ:はい、そうです。私の家族はバッチェラーという名前の小さな町の農家で、大豆、とうもろこし、ソルガムきび、小麦、米を育てていました。
サマンサ:私はルイジアナ州のゴンザレスという町の出身です。料理「ジャンバラヤ」の中心地として有名な町です。父はミシシッピ河沿いのアルミニウム業界の人で、母は教師です。
myfood:なるほど。お聞きするまでもなくなんとなくお二人の「哲学」が見えてきましたが、あえてお聞きします。お二人にとっての料理・レストランの「哲学」はどのようなものですか?
コーディ:これまでに農作や狩猟や漁で経験してきたこと全てが原動力となっています。農作物を収穫したり、鹿・いのしし・りす・うさぎ・鴨を狩猟したり、ルイジアナのシーフードはメキシコ湾で漁獲されるのですが、夏にはハタ、 鯛といった魚が獲れます。 レストランでは色々なシーフードをフィーチャーしています。「Luisiana Seafood Cook-Off」というルイジアナ州のシェフコンペティションがあって、優勝すると「キング・オブ・ルイジアナ・シーフード」という称号が与えられます。そこで私たち二人で2013年に優勝し「キング&クイーン・オブ・ルイジアナ・シーフード」を勝ち得ました。優勝した年は全米を周ってルイジアナのシーフードのプロモーションをしました。そういったことも新しいレストランのコンセプトに関わっています。レストランの名前であるSAC-A-LAITとはルイジアナで獲れる淡水魚の名前です。SAC-A-LAITはレクリエーション・スポーツフィッシング用の魚ですから、実際には料理して店で出すことはできませんが、私の祖父がSAC-A-LAITのフィッシングではルイジアナナンバー1の腕前だったことから、"田舎の自然""フィッシング"といったイメージがレストランの名前の由来となったのです。
お店のメニューは「ハンティング(狩猟)」「フィッシング(漁)」「ファーミング(農作)」というふうに食材が獲れた場所でカテゴリーに分かれているんです。さらに「漁」は淡水魚と海の魚に分かれていますから、4つに分かれているともいえます。
とにかく、私たちは地元の食材にこだわっているんです。
サマンサ:お客様の中にはメニューでカエルや鹿 といった名前をみて、怖がる人もいますが、ルイジアナではそういった食材も生活の一部なんです。ルイジアナはハンティングをするスポーツマンのパラダイスと呼ばれています。
私たちの世代の人たちにとっては少し怖く感じるかもしれませんが、うちのレストランに来てそれらの食材について学んでくれています。私の両親やさらに前の世代の人たちにとっては、それらをご馳走として育ってきたので懐かしい味でもあるようです。
myfood:ジビエは世界中でトレンドになってますしね。日本でもよく見られるようになっています。
サマンサ:そう、そのとおりです。
コーディ:アリゲーターはルイジアナ周辺ではユニークな食材です。他の地方ではまず食されないんじゃないかな。繊細な味でルイジアナでは大きな存在の食材です。そして私たちのレストランの看板料理のひとつです。"Chayote" とか" Mirliton"などという瓜の種類があるのですが、それらとアリゲーターの料理が人気です。
ルイジアナではアリゲーターは全身全てを余すことなく使います。身は食材として、皮はブーツやバッグになりますし、爪まで「まごの手」として売られていますよ!(笑)
myfood:myfood読者の皆さんにオススメの簡単なレシピはありますか?
サマンサ:ありますよ!バーベキューシュリンプ!
コーディ:そう、バーベキューシュリンプがいいね! ニューオーリンズのクラシックな料理で簡単にできますよ。バターの温度だけがポイントです。
バター、ウスターソース、にんにく(細かくきざんだもの)、レモン汁、シーズニング(お好みでどんなものでもOK。塩とコショウだけでもOK)を使います。
シュリンプをバットに入れてウスターソースをかけ、にんにくとレモン汁を加える。バターだけは使う直前まで冷蔵庫に入れて冷やしておくことが肝心。フライパンでシュリンプを両面焼いて、ほとんど完全に焼けたところで、バターの固まりをフライパンを回しながら加えてソースにすれば出来上がり!
作り方は全く「バーベキュー」じゃないのに、昔から「バーベキューシュリンプ」という名前でよばれているんです。
サマンサ:リッチなテイストでパンにも合うし、パスタの上にのせる人もいます。
myfood:わあ、美味しそうですね! 是非作ってみます。ありがとうございました。
【関連サイト】
>>「Hot Tails Restaurant」はこちらから
>>「SAC-A-LAIT」はこちらから
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