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クローズアップインタビュー

クローズアップインタビューVol.47 :サンフランシスコと海外の食材の融合 ジェイソン・フォックスさん

クローズアップインタビューVol.46 :サンフランシスコと海外の食材の融合 ジェイソン・フォックスさん

9月23日から25日まで東京ビッグサイトで開催されていた「ツーリズムEXPOジャパン2016」で、「TASTE OF AMERICA CAFÉ 」オリジナルカフェが出店されました。
期間中、旅とつながるカフェをコンセプトに「ガンボ」「スライダー」等アメリカの都市を代表するフードメニューやドリンクを提供。また、アメリカから著名なシェフ2組が来日し、本場の味についてのトークショーが行われました。そのうちの1人、カリフォルニア州サンフランシスコにある「Commonwealth」レストランのエグゼクティブシェフ兼共同オーナー、大の日本好きのJason Fox(ジェイソン・フォックス)氏に、 彼の愛してやまないサンフランシスコの食材と、ジェイソン・フォックスさん(向かって左)様々な土地からの食材のコラボレーションから生みだされる独自の料理の哲学について語っていただきました。



Jason Fox Interview (2016年9月23日。東京ビッグサイトで開催されたツーリズムEXPOジャパン・2016の会場にて)


myfood:日本にようこそ! 来日ははじめてですか?

ジェイソン:2度目です。今年の4月に京都を訪れたのが初めてでした。日本の食材をアメリカに紹介するため、他の2-3人のシェフと一緒にいくつかのレストランを視察しました。

myfood:今回はいつ東京に到着しましたか? 日本料理を召し上がりましたか?

ジェイソン:2日前に到着して、すでにいくつかのレストランに行ってみました。このあともいくつか予定しています。昨日のランチはコンベアベルト・スシ(回転寿司のことですね)、そして夜は焼き鳥屋に行きました。一昨日は、早朝に築地のお寿司屋で、なんていう名前の料理だったかな...。ウニやイクラなど色々なシーフードが乗っているドンブリ(「ちらし」のことですね)を、それから昼は鰯料理で有名な和食屋さんにも行きました。2日間にしてはかなり色々体験しましたよ!

myfood:日本料理の印象は?

ジェイソン:とにかく愛してます!! シーフードが大好きだし、全てがヘルシーだし。海藻類や出汁も大好きなんですよ。

myfood:そういえば最近は海外のシェフ達から"出汁が注目を浴びている"と聞いたことがありますよ。

ジェイソン:その通り! 魚臭さではなくて、ある種スモーキーな魚のフレーバーが素晴らしい。だから私のレストランでは出汁を作ってよく使うんですよ。クラシックなフレーバーでありながら色々と使い勝手が良いんです。

myfood:フォックスシェフご自身のこと、あるいはレストランのことをお話してください。

ジェイソン・フォックスさんジェイソン:私のレストランはサンフランシスコにあり、「プログレッシブ(革新的)・アメリカン」なレストランと位置づけています。海外からの影響を受けているんです。カリフォルニアはアジアからの人口がとても多いですし、とてもラッキーなことに私自身も海外を訪れる機会が多くあるので。実際車で20分のところにワサビ農園もありますし、サーモン、エビ、カニ、アワビといったシーフードも近くで獲れるので、地元のものを多く使うことができます。地元で獲れたものをどのように使うかが腕のみせどころです。様々なシェフたちの下で働いた経験や日本人からの影響、様々な国の料理のリサーチをすることによって、ユニークな融合を作り上げてきました。つまり、私の料理は色々な料理の影響が少しずつ合わさってできているんですよ。


myfood:今現在は何店舗かお持ちですか?日本や海外での展開は考えていらっしゃいますか?

ジェイソン:今はサンフランシスコに1店舗だけです。もちろん、日本でもオープンできたらいいですね! やはりベースはサンフランシスコにしていたいですが、海外に目を向けるのも良いことだと考えています。

myfood:サンフランシスコでの食材について教えていただけますか?

ジェイソン:ラッキーなことにサンフランシスコには最高の生産者が集まっています。私のレストランで基本となっているのは野菜です。それぞれの季節のメニューを決める根幹は野菜なんです。肉も少しは出しますが、ほとんどのメニューは野菜とシーフードです。"ベジタリアン・フレンドリーなレストラン"だと思います。色々なものを楽しめるテイスティング・メニューがあるのですが、その中にもベジタリアン向けのテイスティング・メニューがあります。

myfood:レストランのお客様たちはアメリカ人が多いのですか?それとも旅行客もいますか?

ジェイソン:色々な人たちがいらっしゃいます。もちろん地元の人たちも多いですが、たぶん10カ国くらいのインターナショナルな雑誌に紹介されたことがあるので、海外からや遠方からのお客様もいらっしゃいます。

myfood:それに今回は日本で「ツーリズムEXPOジャパン2016」に参加なさっているわけですから、日本からのお客様も増えますね!

ジェイソン:そうですね! すでに日本からのお客様もお越しいただいていて、とても嬉しいです。

myfood:お生まれもサンフランシスコなんですか?

ジェイソン:生まれは東海岸のニュージャージー州です。でもサンフランシスコに住むようになって20年以上経ちますし、料理人としての経験もサンフランシスコで積んだので、自分の中ではカリフォルニア出身みたいなつもりです。料理専門の学校で学んだことはないのですが、サンフランシスコの色々なレストランで働きながら学んだ経験が全てです。

myfood:あなたのレストランで人気トップのメニューをいくつか教えていただけますか?

ジェイソン:ナンバーワンはウニです。うちのレストランの大人気食材です。ウニを使った色々なメニューがあるのですが、たとえば冷製の「ウニとスイカとトマトのブリオッシュ」! 全く異なった食材の融合です。 次に、色々な種類のピーチなどの果物を使ったサラダ。ワイルドでスパイシーな緑の野菜ナスタチウムを使ったソルベ添え。
それから、イカのヌードル(イカそうめん、という感じでしょうか)の 豆腐ソース和え。
そして、スモースサーモンの抹茶 バター 、 アップル、オリーブオイル、ホースラディッシュ和え、というところでしょうか。

myfood:面白いですね!

ジェイソン:そう、他とちょっと違う"面白くてクリエイティブ"なメニューを出したいんです。

myfood:そして、とても色鮮やかなお料理が想像できますね。

ジェイソン:様々な色やフレーバーが楽しめますよ。自分のレストランの屋上の温室では色々なハーブや葉野菜を育てて、料理の彩りに使っています。

myfood:料理の哲学みたいなものはありますか?

ジェイソン:まずはフレッシュな食材を使い、野菜中心であること。
クリエイティブで思慮深くあろうとすること。
メニューを作るとき、サプライジングな要素を入れること。
食べ物自体はバランスを重視し、うまみを出すために"甘さ、しょっぱさ、酸味"のバランスに気をつけます。
そして食感。それぞれはシンプルな食材でも、使い方によってスムースだったりパリパリした食感だったり。コンビネーションによって新しいメニューが生まれます。
地元食材にこだわることはしていません。たとえばアジアからの食材と地元の食材が混ざり合う。味のプロファイルや食感がまず先にきますが、それぞれの食材が洗練され、混ざり合うことで一つに融合された料理になる。これが私の料理の哲学かな。
一つずつの料理が相互作用を生み出すことはよくいわれていますが、"多くの食材が受けた影響を利用する"という点は独創的かつ個人的なヴィジョンだと思ってもらえると嬉しいです。

myfood:いつもシェフのインタビューの際にお願いしているのですが、myfoodの読者の皆さんが簡単に作れる美味しいレシピを1点教えていただけますか?

ジェイソン:もちろん!
カットしたトマト、グリルしてからカットしたスイカ、きざみわさび、ウニ、海苔を混ぜあわせて簡単なシーフード料理の出来上がり!
スパイシーさや海の香りが楽しめると思います!

myfood:ありがとうございました!



Jason Fox (ジェイソン・フォックス)
サンフランシスコにある「Commonwealth Restaurant」のエグゼクティブ・シェフ兼共同オーナー。「Bar Tartie」、「Scott Howard Restaurant」など有名店でシェフを務めた後、現在の店2010年に仲間のシェフとオープン。最先端の調理技術と伝説的な手法の融合、ヨーロッパやアジアなど多様な料理文化のエッセンスを盛り込んだ独創性が高く評価されている。ミシュラン1つ星を獲得しているほか、『Saveur』、『The New York Times』、『The Wall Street Journal』など各媒体にも度々登場。"Commonwealth"の名前の通り、同店は地域貢献に熱心なことでも有名。コースメニュー1つの注文につき10ドルを地域のチャリティ団体に寄付するなど、レストランの枠に収まらない活動でも話題を呼んでる。




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