
この記事は2018年5月18日にグレッグ・ディロン氏の受賞ウェブ・サイト「グレート・ドラムズ」に掲載された記事の翻訳です。ディロン氏の活動の目的は、全ての偉大なウィスキー、ジン、ビールと素晴らしい食事について、物語や回想、ニュース、インタビューを通じて自身が経験したことを読者に伝え、触発することです。グレート・ドラムズの活動のほかにもディロン氏は、有名な数々の雑誌やオンライン出版物に寄稿しており、情熱的で革新的なマーケティング・コンサルタントとして活躍しています。
アメリカン・ウィスキーの歴史は1700年代後半に始まります。入植者や移民がアメリカに溢れるようになり、やがて「ムーブ・ウエスト」と呼ばれる西部への大移動につながりました。これらの多くの人たちは蒸留技術とともにスコットラドやアイルランドからやってきていて、この新天地が命の水(蒸留酒)を造るのに申し分のない土地だと考えました。
課税の時代
ウィスキー製造者にとって残念だったのは、米国政府が税収を増やす絶好の機会だと考え、当時の財務長官 アレクサンダー・ハミルトンが米国の蒸留所で造る製品に初めて課税(1791) したことでした。この課税は良い評価を得られず、「ウィスキー税の反乱」(Whiskey Rebellion, 1794)を引き起こしました。 必ずしも深刻で危険な反乱ではありませんでしたが、当時としては大きな問題となりました。
最終的に反乱は課税問題の解決につながらず、ウィスキー製造者を課税のないケンタッキー州やテネシー州などの辺境の地に追い込むことになったのです。このような経緯でこれらの州は今日、アメリカ最大のウィスキー製造州になっています。
産業としての評判について話し合う
南北戦争後(1800年代後半)、蒸留家たちはある程度の品質を保証しなくてはならなくなり、自分たちの製品が法律によって保護されねばならない時期がきたと決断しました。当時、精留塔に不適切なもの、例えばプルーンジュースや噛みたばこの唾などを加えた全てのものにも、バーボンというラベルを貼ることは珍しいことではなかったのです。
最終的に全てのバーボンは、一シーズンの内に一つの蒸留所で製造・瓶詰され、連邦政府の保税倉庫で熟成されたものでなければならないという法律が施行されました。この法律によって、品質を維持・向上させることができるようになりましたが、別の困難が待ち受けていました。
ハードボイルドな禁酒法時代
1920年から1933年までに禁酒法が各州に打撃を与え、ウィスキーのない時代が長く続きます。
とはいえ、少数の策士のおかげで医者の処方箋があれば、ウィスキーを手にいれることができたのです。
とはいえ、少数の策士のおかげで医者の処方箋があれば、ウィスキーを手にいれることができたのです。
禁酒法時代にあってもウィスキー製造の許可を持つ6つの蒸留所がありました。もちろん医療用目的でのみ製造が許されていました。しかしこの法律は永遠には続かず、禁酒法が終わったとき、必死に生き残った蒸留家たちの喜びはこの上ないものでした。
未来は明るい
1980年以降になると、バーボンの人気が復活し、売上が急増しました。バーボン・トレイルが開設され、蒸留所が自らの歴史を称賛し始めると、消費者の興味をかきたてたのです。これらの出来事がバーボンやアメリカン・ウィスキー全体を輝かせ始めました。今日も同じような復活がクラフト・ディスティラリーや少量生産による蒸留酒にみられ、大きな興味を引いています。
アメリカン・ウィスキーの典型的なフレーバー
バーボンやライ(ライ麦)・ウィスキーをはじめ、アメリカン・ウィスキーの種類はとても豊富です。バーボンは内側を焦がしたオーク樽に由来する独特の甘みとキャラメルのようなフレーバーを持っています。森やオーク樫の香りと燻製の薫りがするのも、内側を焼いた樽で熟成しているからです。
ライ・ウィスキーはバーボンに比べるとスパイシーで、シナモンやナツメグの香りがします。バーボンより暖かみがあり、燻製の薫りや甘いフレーバーは少なく感じられます。ライ・ウィスキーはモルトの香りをより強く持っています。
筆者について:
筆者のグレッグ・ディロンは、ウィスキーへの情熱を掻き立てられ、執筆を通じて新たなフレーバーやブランドを伝えています。グレート・ドラムズ(Great Drams)の目的は、初めてウィスキーを飲む人、ウィスキーを勉強している人、そして経験豊富なウィスキーファンに情報を届けること。グレート・ドラムズは、英国ブログ・アワードの最終候補者リストに何度も載り、2015年のインターナショナル・ウィスキー・コンペティション・ブログ・アワードのファイナリストであり、2017 サブール・ブログ・アワード(2017 Saveur Blog Award)のファイナリストでもあります。筆者はアメリカン・ウィスキーだけでなく、スコッチ・ウィスキーの情報を網羅した「ザ・グレート・ドラムズ・スコットランド」(The Great Drams of Scotland)の筆者でもあり 、どちらもオンラインで購読可能です。
【関連サイト】
ウェブ・サイト「グレート・ドラムズ」による原文(英語)はこちらから
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