路地裏に飛び出したグリルから、お肉の焼ける威勢の良い香りが立ちのぼり、通りすがりの人たちも思わず目を細めて立ち止まる――。東京・目黒の「Meat&Bakery Tavern」にてアメリカ流BBQの歴史と調理法を学ぶ、目にもお腹にも楽しいイベントが催されました。

BBQの歴史はアメリカの歴史だった!
時は15世紀後半、カリブ海の島にコロンブスが登場したころ......原住民たちは「バルバッコア」と呼ばれる、塊肉を長時間かけて焼くスタイルの調理法を用いていました。海を渡ったヨーロッパ人たちは、自分たちの連れてきた豚を調理し、そこで振る舞うこととなります。そしてヨーロッパ人はカリブ海からアメリカ本土へと上陸するのですが、当時の東~南海岸は茂みの多い土地だったため、彼らはかの地を開墾して作物を作り、豚を飼育し、町を作ることとなったのです。牧草地に恵まれず、大きな家畜を飼えない土地だったことから、19世紀中ごろの転換期までは豚肉食中心の生活を営むようになりました。

こうした開墾の進捗や牧草地の有無などといった土地柄を重要なファクターとして、BBQはいま4つの地域で独特の発展を見せています。ノースカロライナ州とサウスカロライナ州でのメインは豚の肩肉。調理はバリエーションに富み、BBQソースの使用が欠かせません。テネシー州のメインはスペアリブやバックリブ。ドライなスパイスを使って提供されます。ミズーリ州のメインもスペアリブ。調理にはウェットソースが用いられます。そして今回の講師たちの出身地・テキサス州のメインは牛肉。ドライなスパイスが主に用いられ、ソースはあまり使いません。
コンセプトはLow& Slow
テキサス州は牧草地や河川といった豊穣に恵まれたほか、スペイン・メキシコ経由の文化の影響が強く、牛の飼育に注力したことが特徴です。19世紀中ごろにユニオンの一員となると、その特徴を活かした調理法をさらに発展させていきました。具体的には、大ぶりでサシが多くマーブル状になった牛の塊肉を長時間かけて焼くのが特徴で、赤身と塩にこだわった燻製技術(スモーキング・テクニック)にこだわるのがテキサス流と言えるでしょう。ここではアンガス種のプライム肉が特に好まれ、ブリスケット(胸肉)、ショートリブ、ショルダー、そして東欧由来のビーフソーセージを用います。
テキサス州は牧草地や河川といった豊穣に恵まれたほか、スペイン・メキシコ経由の文化の影響が強く、牛の飼育に注力したことが特徴です。19世紀中ごろにユニオンの一員となると、その特徴を活かした調理法をさらに発展させていきました。具体的には、大ぶりでサシが多くマーブル状になった牛の塊肉を長時間かけて焼くのが特徴で、赤身と塩にこだわった燻製技術(スモーキング・テクニック)にこだわるのがテキサス流と言えるでしょう。ここではアンガス種のプライム肉が特に好まれ、ブリスケット(胸肉)、ショートリブ、ショルダー、そして東欧由来のビーフソーセージを用います。
ここでスピーカーはTHE BETTER TABLE(株)取締役のクレッグ・ホワイト氏へとバトンタッチ。流暢な日本語にジョークを交えながら、テキサスBBQの設備と技術についてのレクチャーが始まりました。

さてわたしたちはどのように再現すべきなのだろうか、と想像力を働かせていたところ、デモンストレーションが始まりました。デモの素材には、脂の少ない牛のブリスケットが選ばれました。この塊肉に塩コショウを1:1の割合で擦りこんでいきます(ちなみにホワイト氏の店舗では、この割合を1:9にしているのだとか)。
みるみるうちにスパイスに覆われていく塊肉を、ホワイト氏は熱したBBQグリルに投入します。あとは時間をかけて火を入れて......と、ここで冒頭の「路地裏でグリル」のシーンになるわけです。美味しそうな音とたちのぼる香気に食欲も旺盛になったゲストたちは、ミューラー氏の呼び声とともに裏庭のビュッフェへ誘われます。「さあ、まだまだお肉はなくならないよ!」

さて、実食!
なんとも重量感のあるビュッフェに並んだのはビーフブリスケット、チキンレッグ、ポークベイビー・バックリブ、ポークショルダー、そしてテクスメクス(メキシコ風アメリカ料理)のピントビーンズ、コールスロー。どれも旨味が零れ落ちそうな、シズル感あふれる押し出しです。肉の表面によく擦りこまれた塩コショウは見た目ほどには辛くなく、ジューシーさを閉じ込める殻の役割を果たしながら肉そのものの持つパワーを野性的に補ってくれています。ゲストたちはめいめいに、お皿にうずたかく積まれた肉を前にお祭り気分を楽しみました。
なんとも重量感のあるビュッフェに並んだのはビーフブリスケット、チキンレッグ、ポークベイビー・バックリブ、ポークショルダー、そしてテクスメクス(メキシコ風アメリカ料理)のピントビーンズ、コールスロー。どれも旨味が零れ落ちそうな、シズル感あふれる押し出しです。肉の表面によく擦りこまれた塩コショウは見た目ほどには辛くなく、ジューシーさを閉じ込める殻の役割を果たしながら肉そのものの持つパワーを野性的に補ってくれています。ゲストたちはめいめいに、お皿にうずたかく積まれた肉を前にお祭り気分を楽しみました。

さて今回は、昨今アメリカのトレンド、「ソースに頼らないBBQ」のエッセンスをお届けしました。BBQを夏だけに独占させるなんてもったいない! みなさまもそれぞれの季節感を取り入れながら、海や山やガレージで、ホットにやんちゃに楽しまれてはいかがでしょうか。
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