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オリーブオイルを選んでみよう



オリーブヨーロッパ料理からアメリカ料理、そして今日では日本食にまで裾野を広げつつある調理の魔法......オリーブオイル。今では一般家庭にも広く普及し、毎日の食卓で摂取する機会も増えたことと思われます。さて、こうして日常を愉しく潤すオリーブオイルですが、その実わたしたちはなかなか、「品定め」するための知識を得られずにいるのが現状ではないでしょうか。今回は、家庭での楽しみをぐっと増強させるため、カリフォルニアオリーブオイル協会による「品定めの秘策」をお伝えしたいと思います。

まず「舐めてみる」こと

オリーブオイルの風味を最大限に発見するには、ストレートで舐めてみましょう。つまり、パンやほかの食品を使わないこと。こうすれば、気が散ることなくオイルの味を満喫することができるのです。

プロのテイスターは、オイルの香りに集中することのできる特別製の青いグラスを使います。それは片手にフィットする丸みのある底部に、油面が渦を巻いて香気を立ちのぼらせられるような内部構造を持ち、アロマをしっかりと捕捉できるふちを持つ形状となっています。まず、蓋をして穏やかに28℃まで温めます。ほかの臭気の混じらない環境で味を見定めることが肝心です。そして、連続してテイスティングする場合には、青いリンゴ(できればグラニースミス種)をひと口齧り、スパークリングウォーターまたはスティルウォーターで口をすすいでから、味覚をすっきりさせるようにしましょう。

オリーブオイルをめぐる「4つのS」

"Swirl(渦を巻く)"
渦を巻くことでオイルのアロマは放出されます。香りを嗅ぐ準備が整うまでは、オイルを覆って保管しておきましょう。

"Sniff(嗅ぐ)"
オイルを嗅ぐときは、蓋を取りグラスのふちから迅速に吸い込みましょう。そしてそのアロマや強度をメモしておくことも肝要です。

"Slurp(すする)"
空気を吸うような気持ちでオイルをすすりましょう。ズルズルとすすることでオイルは乳化され、その味とアロマが口全体に広がるでしょう。鼻後方のアロマだけでなく、苦味の強さもメモしておきましょう。

"Swallow(飲みくだす)"
オイルの刺激臭を徹底的に評価するとき、オイルの刺激度合は喉の感覚によって判断されるため、少なくとも少量を一気に飲みくだす必要があります。オイルの辛味は喉の感覚によって判断されるといってもよいでしょう。もしも飲みくだすことで喉がチクチクしたり、咳をしたくなったとしたら、それは刺激臭の高いオイルなのです。


納得! プロのテイスティング術
わたしたちが食べ物の風味について話すとき、実は「香り」と「味」という2つのセンスが反射されているものです。そしてわたしたちの味覚味蕾は、塩味、酸味、苦味、甘味、そして旨味という5つの風味を見分けます。ほかのすべての風味感覚は、食べ物が口中にある間、鼻後方でその香りを嗅いでいますから、官能評価を下すプロたちは、こうした作用から異なる情報を知覚できるように、鼻前方を通じて嗅ぐ香りにまで、細心の注意を払っているのです。



カリフォルニアオリーブオイルの豊穣な味わい

牛肉のグリルと竹の子 オリーブオイルと山葵 花びら茸のマリネとフリット4月13日、東京・フォーシーズンズホテル丸の内にて、カリフォルニアオリーブオイル協会主催のディナーイベントが催されました。会場には協会選りすぐりのエクストラバージンオリーブオイルが立ち並び、ゲストは小皿にとったそれらを啜ってその豊穣を楽しみました。

浅野裕之ヘッドシェフによると、コースに使用された食材はすべて、ひと皿ずつ趣向を変え選定された、オリーブオイルに寄り添うものばかり。

「焼き茄子のすり流しとオリーブオイルのソルベ シラスのアクセント 生姜の香り」
「焼き茄子のすり流しとオリーブオイルのソルベ シラスのアクセント 生姜の香り」使用オイルは「Grove45」。針生姜がぴりっと効いて、茄子本来のマイルドさにオリーブオイルならではのコクを加えた、コースの導入にふさわしい味わい。シラスのはりはり感がアクセント。






「チョウザメのムニエル オリーブと茸のピュレ 蕗の薹 ブールノワゼット」
「チョウザメのムニエル オリーブと茸のピュレ 蕗の薹 ブールノワゼット」使用オイルは「Green Valley Olive Frantoio / Leccino」。むちっとした弾力も楽しい、厳格な管理下で育てられたチョウザメの肉感が主役。淡い滋味にシンプルな塩味が広がります。







「牛肉のグリルと竹の子 オリーブオイルと山葵 花びら茸のマリネとフリット」
「牛肉のグリルと竹の子 オリーブオイルと山葵 花びら茸のマリネとフリット」使用オイルは「Cobram Estate Picual」。オイルとグリル肉の力強さもさることながら、ゲスト一同が息を呑んだのが"幻のキノコ"と呼ばれる花びら茸のふくよかな味わい。柄から穂先にかけて徐々に移り変わる食感の違いに、舌の上での繊細な楽しみ方を見つけました。





「デザート(イチゴと桜、オリーブオイルのパフェ)」
「デザート(イチゴと桜、オリーブオイルのパフェ)」使用オイルは「Calivirgin」。マイルドバタリーオイルと分類されるものになります。イチゴとクリーム、アイス、オイルという押しの強い材料に桜をふくませることで、淡くも華やかな日本らしさを表現。見た目の繊細さにたがわぬ、うつろいゆく甘露を楽しめました。





グリーンバレーオリーブのジェフリー・ダゲット代表によると、カリフォルニアオリーブオイルには品種や作付け時期を違えたバリエーションが豊富にあり、マイクロシーズンが様々だからこその味わいがあるそうです。より早く摘めばフレッシュな味、じっくり待てばバターのようなマイルドな味......。カリフォルニア産の特徴は、ずばり「選択肢がある」ということ。今回のバラエティ豊かなコースによって表現されたように、様々なシーンに合わせる味が、豊穣の地にはずらりと並んでいるのです。欧米料理のみならず、和食にも広がりゆくオリーブオイルの世界。ますます美味しい「発見」が、わたしたちの食卓に訪れそうな予感を抱いた夜でした。





【画像提供協力】
カリフォルニアオリーブオイル委員会(COOC)





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