昨年、大阪市内靱公園の近くに、ユニークなワインのお店がリニューアルオープンしました。「１１年連続 （オンライン）ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞」という輝かしい実績で知られるワインショップ「タカムラ　ワインハウス」の実店舗です。

ワインハウスという名の通り、ここ「タカムラ」には、従来のワインショップの概念をこえた「インターネット店だけでは伝えることができない、ワインの楽しさを体験していただきたい！」という社長松誠さんの思いが、フロアのすみずみまでに体現されています。

店内は、高い天井と広い通路が印象的な開放感あふれるスペースが広がり（なんと２００坪！）、世界の産地から届いた2000アイテム以上のワインとワインに合うような食品・雑貨が、さまざまなスタイルで陳列さられています。

そうした多彩なワインのディスプレイとワインの魅力をアピールする手書きポップを見ていると、目的のワインを探すことを忘れて、「ここには何があるのだろうー」とつい寄り道をしてしまいそうになるほど。日常で楽しむ手軽なワインから、100万円を超える超高級ワインまで幅広い品揃えを誇りながらも、誰でも入りやすいカジュアルな雰囲気があるのもこのお店の特徴です。

充実したアメリカ産ワインの品揃え

壁一面に設置された巨大なワインセラーには、世界の銘醸ワイン（約900種類）が整然と並べられ、アメリカ産ワインの品揃えも充実しています。カリフォルニア州（ナパ、ソノマ他）だけでなく、ワシントン州、オレゴン州のまで、その数は常時１００アイテム以上。価格も、1000円以下のものから数万円、さらには20万円以上もするようなヴィンテージ品までそろっています。

それらの多くは、松社長他、ソムリエの店員さんが産地を訪れて仕入れたもの。「アメリカというと大量生産のイメージがありますが、向うのワイナリーは家族経営に近いところが多い。お客さんは、ボルドーはよく知っていても、（たとえば）ナパの造り手についてはよく知らなかったり、味わいはさまざまなのに、一緒くたにみられがち・・・・・・。そうした（まだよく知られていない）価値を知ってもらいたい」と松さんは話します。

今シーズンのおススメのひとつは、 New York Times紙他で「次なるオーパスワン」とも評されたワシントン州のカベルネ・ソーフィニヨンのワイン。一本8000円近い売価にも関わらず、すでにオンライン・店頭と合わせて驚異的な数を販売し、造り手にも驚かれるほどのヒット商品になっています。

ワインの楽しさを「体験」

さらに、ここで「ワインを楽しむ」のに欠かせないのが、リニューアルと同時に導入されたプリペード式セルフサービスのワイン試飲マシーン。常時、一本数万円もする高級ワインも含めて48種類のワインが、好きな量・数楽しめるのです。試飲単位は10mlから100mlまで３サイズあるので、ボトルではなかなか手の届かない高価なワインの試飲も味わうことも。（訪問した日には、カリフォルニア州ナパ産の「オーパスワンより貴重！」と書かれた珍しいワインが、ワンコインから試飲できました。）

こうしたユニークなお店作りの構想の原点は、松さんがアメリカ各地でみた「デカイ」ワインショップの数々にあるそうです。ワインショップといってもボトルが所狭しと並べられるのではなく、そこにはワインを楽しめるようなスペースがあり、またワインの造り手たちが訪れてお客さんと直接コミュニケーションのできる場が。そんな体験から、「ワインを楽しみながら長く滞在してもらえるような、ダイナミックな店」を目指してできたのが、今のワインハウスです。（建物も店内同様、ロフト付ショールームのような大胆なつくりです（写真）。）

そんな当初の思い通り、オープン以来、訪日するワインの造り手との交流イベントが毎月のように開催されています。最近も、カリフォルニアから、創業後、わずか２年でパーカー・ポイント１００点を獲得したことで注目を集めるワイナリーの方が来日したばかり。「オンラインでたくさんのワインを売っていますが、やはりお客さんとフェース・トゥー・フェースで、『前回どうでした？』とお客様の声も聞きたい。この実店舗を通じて、ワインにこめた造り手の思いをお客様につないでいきたい」と、松さんは熱く語ります。

地元や関西在住のワイン愛好家だけでなく、有名レストランやホテルのシェフ、そして観光客の間でも人気スポットになっているのは、品揃えに加えてほかにはない体験ができるから。ハイテク試飲サーバーと数え切れないほどのワイン棚に囲まれてくつろげる空間は、会社帰りに途中下車してもよりたくなるようなお店です。

【店舗DATA】
タカムラ　ワインハウス
住所： 〒550-0002 大阪市西区江戸堀2丁目2-18
電話： 06-6443-3519
営業時間： 11:00~19:30
定休日： 水曜
Webサイト： http://takamuranet.com/