Home> 特集記事> 季節のイベント 2012.12_05

アラスカシーフードナイトー「天然の味」を満喫!



この夏、天然の鮭の美味しさをもっと多くの人に知ってほしいと、大阪市内のレストランで「天然鮭を食べる会」が発足しました。 主催者は、水産物の販売に携わる佐々木通昌さん。「(養殖の魚は)脂がよく乗っていて、美味しい!」という魚の脂の多さだけ強調する最近の風潮が気になっていた佐々木さんが、「天然の鮭は、養殖に比べて多少脂が少なくても、塩で旨味をだしたり、酢でしめたりして、美味しく食べられる。旬に応じた天然の魚のよさをもっと発信しよう」と『欧風食堂millibar』の経営者奥山天堂さんによびかけ、意気投合したふたりがスタートさせた活動です。

myfood 編集部は、12月8日、「天然鮭を食べる会」が主催した「アラスカシーフードナイト」におじゃましてきました。第3回目となるこの日は、アラスカシーフードマーケティング協会の協賛により、鮭だけでなく、カニ、数の子、銀ダラ、キンキ、そしていくらと、アラスカ産の天然シーフードづくしのイベントにバージョンアップ。それでは、早速イベントの模様をご紹介しましょう。

午後5時。雪もちらつくような寒い夜にもかかわらず、大阪市内だけでなく東は神戸、西は京都、滋賀からもぞくぞくと集まってきた参加者を待っていたのは、極上の食材からなる6コースディナー(プラス、デザート)と、料理に合わせて用意された赤白4種類のワインでした。

「数の子のマッシュポテト、ズワイガニの生春巻き、銀ダラのエスカベッシュ」まず最初は、というよりむしろスタートから、ひじょうに手のこんだオードブル3種「数の子のマッシュポテト、ズワイガニの生春巻き、銀ダラのエスカベッシュ」が出てきました。生春巻きのムチムチした皮の中には、ぷりぷりのズワイガニがたっぷり。ひき締まった身の美味しさに、参加者からも驚きの声があがるほど。また、私たちがお正月以外にあまり食することのない数の子は、ポン酢風味に味付けされ、マリネされた山椒の枝がトッピング。「かつお醤油もいいですが、山椒の香りがするこの食べ方もおいしいですね」という声が聞かれました。

アラスカ産スケトウダラのすり身を使った特製さつまあげなど3種オードブルの2皿目は、アラスカ産スケトウダラのすり身を使った特製さつまあげなど3種です。甘味があり食感にすぐれたこのすり身から作られたさつまあげは、ひと口食べただけで「これは違う」とわかるほど。(日本は、アラスカ産"surimi"の最大の輸入国です。)銀ダラの薫製は、アラスカでは定番ですが、そのしっとりとした柔らかさは日本人にはとても新鮮な味です。

各自お好みのワインを片手に、ここまで食事が進んだところで、アラスカシーフードマーケティング協会の家形晶子さんのトークセッション「アラスカシーフードの特徴と、持続可能性実現にむけての取り組み」が始まります。

会場の大きなプロジェクターには、アラスカの大自然、沖合の荒波のなかで小型漁船に乗った漁師が、サーモンを一尾一尾釣り針からはずして船上に引き上げている姿など、アラスカの水産資源保護にむけたさまざまな取り組みが映されます。映像を見ながら、アラスカ州では、一般住民も含め「魚に関わるすべての人が、水産資源を守ろうと共通の意識を持って行動している」という家形さんの話を聞いているうちに、日本人にはあまり馴染みのない「『サステイナブル(持続可能)な漁業』のイメージが具体的にわいてきます。

アラスカの美しい自然と、水産業(イメージ
)さらに、「持続可能な(サステイナブルな)漁獲の原則」、「サステイナブルな漁業の徹底」というとわかりにくいですが、たとえば、サーモンの場合であれば、「上流に溯上しようとするサーモンをすべて獲ってしまうのではなく、溯上して産卵する成魚の数を十分に確保して、サーモン資源が長期的に持続を可能にしている」ときき、言葉の意味が鮮明になりました。溯上するサーモンの尾数やサイズ、天候、水位などの条件がすべて厳格に記録され、漁獲の許可は一日単位で管理されているそうです。

アラスカの美しい自然と、水産業に従事する人々の風景が目に焼きついたところで、話は終わり、食事の再開です。

登場したのは、大皿にのった「イクラと紅鮭のスモークサーモンの冷製パスタ」(左上写真)です。パスタが見えないほど、イクラとスモークサーモンが贅沢に盛られた一品。(その華やかさに、会場からはワーという歓声が!)新鮮なイクラとサーモン本来の味が引き立つよう、パスタソースはいたってシンプル。カニの身をほぐした殻からとった出汁と、かぼすの果汁をベースにつくられていました。ミリバールのシェフが、「調理していてもくずれないしっかりした身が印象的だった」と話すとおり、素材の美味しさがぎゅっとつまった大きな角切りのスモークサーモンは、まさに天然ならではの味。パスタに続く、ズワイガニのガーリックバター焼きは、つやのあるしっとりとした白いカニの身ーーこちらもまた格別の味でした。

「キンキと銀ダラとサーモンのブイヤベース」「アラスカシーフードナイト」最後の料理は「キンキと銀ダラとサーモンのブイヤベース」です。ブロッコリー、キャベツ、ニンジンなどの野菜といっしょに 、味も食感も異なる三種類の魚の大きな切り身をたっぷり使い煮込んだトマトベースのスープ。この日最後の、シーフードのごちそうです。それまでは「美味しい、美味しい」と、食べることに夢中でしたが、スープをうめつくした堂々とした魚の切り身を見ていたら、「そうだ、これらの魚たちは、もし厳しい資源管理を行わなければ枯渇しかねない、貴重な水産資源なんだ...」、そんな思いがわいてきました。

絶品ブイヤベースの鍋さて、この絶品ブイヤベースのお味ですが、それは以下の写真を見て、そのリッチな味わいを想像していただきましょう。会が終わったのはなんと約5時間後。「天然鮭を食べる会」は来年も盛り上がりそうです。








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IMG:アラスカシーフードナイトー「天然の味」を満喫!(イメージ)