Home> 特集記事> 季節のイベント 2012.09_03

最先端アメリカ料理の食材もここで仕入れられる



カリフォルニア州では1978年からファーマーズマーケットが正式にスタートしています。それまでは農家から消費者への直売が禁止されていたのです。1978年に新しい州法を制定してファーマーズマーケットでの例外的な直売を認めると、その開催地は一気に増えていきました。
全米一のファーマーズマーケット数を誇るカリフォルニアですが、開催と出店にはとてもたくさんのルールが課せられています。まず開催は農家とNPOと行政のいずれかに限定されています。そして出店者はカリフォルニア産しか販売できません。さらには生産者自身が消費者へ直接販売しなければならず、第三者に販売を委託することもできません。この部分は日本の道の駅と大きく異なります。
ファーマーズマーケットは小規模農家のこだわり農産物に販路を与え、生産者との対話を求める消費者との橋渡しをするために誕生しました。それを忘れることなく、地元農家の保護と消費者への直接供給というテーマは、いまもしっかりと守られているのです。

食育/子供(イメージ)ファーマーズマーケットの浸透は、他にもいくつか想定外の役割を果たしていきます。まず子供たちへの食育活動拠点として重要な存在になりました。たくさんの地元農産物が並ぶ光景はそれだけで食材への興味をかきたて、子供を対象とした野菜教室にはやがて大勢が参加するようになりました。さらにはファーマーズマーケットの集客力が地域経済の活性化に極めて有効だとわかり、わざわざ都市部で開催するケースが急増していきます。
日本で人の集まる場所といえば以前は駅前が中心でしたが、近年は郊外のショッピングモールへ集まるようになり、駅前から以前のにぎわいは消えてしまいました。アメリカも同様に都市中心部(ダウンタウン)が空洞化し、治安の悪化と合わせて深刻な問題となっている地域もあります。ファーマーズマーケットはそうした地域の活性化にも大きく貢献しています。

ユニオンスクエアニューヨークではファーマーズマーケットによって街そのものが生まれ変わっています。現在も週に4回開催されているユニオンスクエアは、ニューヨーク初のファーマーズマーケットとして1976年にスタートしました。当時のユニオンスクエアは、浮浪者がはびこる治安の悪い地域でした。それがファーマーズマーケットを開催したことでクリーン・アップされていったのです。
ユニオンスクエアでの成功を受けて、ニューヨークではファーマーズマーケットが急増していきます。どの市場でもオーガニック野菜の人気が高く、ニューヨークを代表するシェフの多くが仕入れ先として活用しているほど。いまニューヨークは進化するアメリカ料理の最先端と位置づけられています。野菜を多用し、シンプルでヘルシーな最先端アメリカ料理の原点は、ファーマーズマーケットにあるのかもしれません。

野菜を使った料理(イメージ)農村と都市を結びつけることで、都市住人のニーズに応えた家族経営農業の新しい経済活動を支え、さらには街を健全に活性化するファーマーズマーケット。古き良きアメリカ食文化と次世代アメリカ食文化の両方が、ここには凝縮されています。








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IMG:生産者と消費者を繋げるアメリカ食文化/最先端アメリカ料理の食材もここで仕入れられる(カリフォルニアのファーマーズマーケット)