アメリカでは11月の第4木曜日を感謝祭(Thanksgiving)として祝日にしています。しかも多くの州では翌日の金曜日も祝日にして、感謝祭4連休が定着しているんです。この期間は全米の空港、高速道路、鉄道がもっとも混雑するんだとか。これって日本のお盆と似た雰囲気ですね。

感謝祭には多くの家庭でターキーを食べます。ターキー(turkey)とは七面鳥のこと。でも本来、この言葉はヨーロッパにある共和国のトルコ(turkey)を意味します。じつはアメリカ大陸に広く野生していた七面鳥は、もともとpavoと呼ばれていました。それが家禽としてヨーロッパに浸透するとき『turkey cock(トルコ鶏)』と名づけられてしまったのです。昔のヨーロッパは、異国から伝来したものになんでもかんでも『turkey??』と名づけることが多かったんですね。そしてヨーロッパで七面鳥=ターキーが定着すると、いつの間にかアメリカでもそう呼ぶようになりました。ちなみに日本語ではなぜ『七面鳥』なのかというと、頭部の皮膚の色が様々に変化することから名づけられたとか。日米いずれも名前の由来が面白い鳥なんですね。

感謝祭のターキーについて逸話をもう一つ。
最近では感謝祭の朝にアメリカ合衆国大統領が2羽の七面鳥を恩赦する映像が毎年流れます。これは感謝祭の食卓で大量に消費される七面鳥へ感謝の意を表するパフォーマンスですが、ではいったいいつから始まったのでしょうか。現在では第33代大統領のトルーマンが1947年にはじめて恩赦を与えたとされていますが、これを明確に裏づける資料はまだ見つかっていません。一方で『元祖恩赦』は第16代大統領のリンカーンだとする説も根強くあります。息子のペットだった七面鳥に恩赦を与えたのが始まりだというのです。第2次大戦後の国連創成に尽力したトルーマンか、それとも奴隷解放を宣言したリンカーンか、ターキーを囲んだ食事の席で議論してみるのも楽しそうですね。

現代の感謝祭は、アメリカでも宗教的な色合いはかなり弱くなっています。親しい仲間と家族が集まって美味しいターキーを食べる。そうした行事としての楽しい食事会なら、日本だって大歓迎ですよね。今年の感謝祭は11月24日。日本が輸入するターキーのおよそ7割はアメリカ産です。あるいは普段あまり食べることの少ないアメリカン・ターキーだからこそ、この機会にしっかり味わってみましょう!
ターキー関連画像提供:eatturkey.com