昨今ではご当地ビールばやりの日本ですが、地ビールといえばアメリカも負けてはいません。選りすぐりの原料と伝統的製法で醸造された、味わい深いアメリカの地ビールであるクラフトビールは成長も著しく、世界的な評価を高めています。米国クラフト・ビール醸造者協会である、アメリカ・ブリューワーズ・アソシエーション(ABA)は本年9月に横浜で開催されたジャパン・ビアフェスティバル (GJBF) 2010に出展し、その際にはコロラド州の協会本部からエキスポート・マネジャーが直接来日したほか、計16社のアメリカ・クラフト・ブリューワー(醸造所)が参加!各社のビールが紹介・試飲され、多くの来場者に本場の味を楽しんでいただきました。そこで今年の年末年始はアメリカのクラフトビールと共に過ごされてはいかがでしょうか?
日本ではあまり知られていませんが、アメリカ・クラフト・ビールの歴史はアメリカ合衆国の成り立ちまでさかのぼります。さまざまな国のビール製法をそれぞれの移民がアメリカに持ち込んだ背景を持っているので1800年代当時の米国はさながらビールの国際博覧会のように様々なビールが飲まれていました。その後、1920~1933年の禁酒法時代(Prohibition)を経て、第二次世界大戦後、ライトなピルスナー・ビールが市場を席巻するまで、アメリカでは各国の伝統ビールをできたてのままに楽しんでいたのです。軽快なラガー市場(ピルスナー・ビール)が拡大するにつれ、一時期はユニークな地ビールを見ることが難しくなった時代もありました。しかし伝統的な地ビールはアメリカの中で細々と生きながらえ、小数ではありましたが情熱に燃えるパイオニア達が生き残りました。彼らは1980年代に入ると、地域のために元来彼らがアメリカに持ちこんだヨーロッパの伝統的で風味豊かなクラフトビール醸造に更なる情熱をそそぐようになります。これらクラフト・ビールは昔ながらの製法でつくられながらも、アメリカ独特の地ビールとして発展をみせます。90年代の初めになると近代的設備で醸造される地ビールの勢いは増し、ビール通を多くかかえる地域ではクラフト・ビールがライトなラガー・ビールを凌駕するようになりました。
今日ではアメリカ地ビールは国内で高い人気を誇るだけでなく、世界的な名声を得るにいたり、現在では全米で1,449のビールメーカーがあるところまで成長と人気を博しています。アメリカクラフトビールの特徴は原料であるモルトから生まれるフルーティな香りと季節によってはここに果物を発酵原料として加える製法。ぜひこの機会にアメリカクラフトビールの魅力に触れてみてください。
